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側弯症と部活動の問題

部活やスポーツは控えた方がいいのか、という質問を多く受けます。

今回は部活と側弯症の姿勢について考えたいと思います。

 

さて、側弯症の中で約8割を占める「特発性側弯症」は突然に起こるものではありません。
女性は思春期の時に女性ホルモンが多く出始め、赤ちゃんを作るからだの準備を始めます。
その為、柔軟になっていきますが、柔軟になるということはそれだけ身体がゆがみやすいということでもあります。この時に姿勢が曲がっていると歪みが強く表れていきます。
この姿勢というのは単純にご両親や先生方が見て”姿勢が悪い”と思うものだけではありません。部活動やスポーツなども、姿勢には大きく関わって行きます。

なぜなら殆どのスポーツは左右対称ではないからです。

どちらかに利き側があり、偏った姿勢を多くすることになります。

例えば、ソフトボールやテニス等の素振りは基本動作で、必ず練習をします。左を前に構えての素振りの練習を行うひとが、左右均等に行うため、右を前に練習をするようなことはほとんどありません。この偏った練習を毎日行う事になり、思春期の身体は常に変化に対応していきます。テニスをする子はテニスをしやすい身体に、ソフトボールをする子はソフトボールをしやすい身体になっていきます。それが「真直ぐのきれいなからだ」になるとは限らないのです。

私の診ている患者さんで弓道を行っているひとがいます。

そのひとは高校生で練習時間が1日4時間程でした。身体をみたところ右胸椎部に大きな隆起を確認しました。練習を行っているうちに身体が弓を引いている形で固まってしまっていたのです。

スポーツを行うにしてもそのスポーツに負けない身体をつくることが大事になります。これが本当の基礎訓練です。基礎訓練は「左右対称」に行う事が重要です。そこでしっかり筋肉の負担に負けない強い身体を作るわけです。一度、変形した骨格はもとに戻るのに時間と労力が大きくかかります。治療を行うにあたって重要なことは、現状をどれだけよくするかと同時に原因を取り除く事にあります。

 

当院では初診時に部活動やいまやっているスポーツについて細かくお聞きします。そのひとにとって日常的によく行う姿勢はどのようなものか、筋肉への負担はどのように身体(とくに側弯部)に影響を与えているかを確認し、ひとりひとりにあった治療をすることはもちろん、体操や基礎訓練の仕方も一緒に指導し、原因を取り除くことも大切にしています。